僕と彼女の宗教戦争 第21話 異音

第20話 はこちら。

昨年の秋頃、僕と彼女は気分転換に四季桜を見ようとドライブに出掛けた。

なぜ気分転換が必要だったかって? それはもちろん僕が負担を掛けていたからだ。

お目当ての四季桜は思ったより大したことなく、そこから車で行けそうな観光地を Googleマップ で探しながら走り回っていた。

たわいもない話をしながら走っていると、助手席の彼女が突然こう言って話し始めた。

出たんだよねぇ。

『出たんだよねぇ。新しい iPhone。』

こんなブログをやっている僕が知らない訳がない。それなのに反対に新しい iPhone のことを一言も口にしないのを彼女が気になったようだ。

事情があって新しい iPhone の購入を見送ろうと考えていた僕は『うん、出たねぇ。』というのが精一杯。さっさと他の話題に切り替えたい気持ちが強かった。

そのまま走っているとダム沿いに道の駅を見つけた。僕と彼女はその道の駅で食事をしてダム見学をすることした。

えっ…

ダムの大きさに驚き、内部見学までできて iPhone で写真を撮りまくった僕と彼女。そろそろ家に帰ろうと車に戻り乗り込む。

彼女がドアを閉めると『コンッ』と小さな異音がした。どうやらコートが挟まってしまったようだ。と思ったら今度は iPhone がカバンの中にないという。

探してみると…コートのポケットから iPhone が出てきた。それを見た彼女は『えっ…。』と言ったまま固まっていた。

彼女の iPhone が画面の真ん中あたりで折れ曲がっていたのだ。さっきの小さな異音は iPhone がドアに挟まれた音だったようだ。

さすがにそのまま使うのはいつ壊れるかわからないと思った僕は、渋る彼女を説得して大型ショッピングセンター内にある携帯電話ショップに向かうことにした。

欲しいんじゃないの?

新しい iPhone の在庫は潤沢ではなかったものの、希望の色を選ぶことができてホッとしている彼女。

自宅に着くと『欲しいんじゃないの?』と僕につぶやいた。

そんなの欲しいに決まってる。それをわかっていて僕をイラつかせようと聞いてくる彼女の仕掛けに表面的には引っかかることなく、なんとかやり過ごしたのだった。

Posted from PressSync Pro – WordPress Blogging App – Hiroaki Hayase
on iPhone.

この投稿へのコメント

コメントはありません。

メッセージをどうぞ!!

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL